ソブリン

ギリシャの財政悪化によるソブリン・リスクはすでにポルトガルから、より経済規模の大きいスペインやイタリアに飛び火しており、ギリシャ問題に対応すればいいという段階ではなくなっている。ソブリンは金融業界の用語で、国債や地方債など、政府が発行する債券のことである。国債や公債の規模が大きいだけに、金融市場にとってこれは大変なことである。深刻な財政危機に陥っているのはギリシャ、イタリア、スペインなど欧州の国である。世界的な金融危機への対応から多くの国の政府が積極的な景気てこ入れ策を行い、それが財政状況を悪化させているからで、金融危機の最悪の状況は抜け出したものの、財政資金を出し切って、政府の債務が膨れあがってしまった。ソブリンリスクの本命は日本と米国で、日本の政府債務の状況についてはいまさら言うまでもない。対GDP比で見た日本の政府債務の額はおおよそ170%前後で、ジンバブエについで世界第2位であるという。日本に続いて、レバノン、ジャマイカ、イタリア、スーダンと続くが、ここまでが債務の対GDP比が100%以上で、世界のその他の国はすべて100%以下である。国債や地方債の価格が暴落すると、その利回りが高くなる。国債や地方債に大量の資金を投じている金融機関は大きな損失を被る。金利が上がれば、借金を多く抱えている家計や中小企業も大変で、国や地方政府も借金に対する利回りが上がれば、それだけ利払いにお金が必要となってしまい財政が回らなくなってしまう。現実に国や地方の政府がやっていることは、財政破綻に向かってひたすら走り続けているようにしか見えない。4年間増税はぜったいにしないと明言して、信頼のおける財政再建シナリオが描けるけるはずはない。