来年の景気は

来春卒業見込みの大学生らの就職内定率(10月1日現在)が前年同期比を7.4ポイント下回る62.5%となったと言っている。ただこの数字の中身で、一番低かった03年に比べて介護、農業、飲食業界の就職内定が、かなりの部分含まれていていると思う。この業界は一日中立ち仕事多いために在職率が低く、多めにとる業界である。製造業、損保、銀行などの就職内定率で計算するともっと悪くなる。
わが国の経済を牽引しているのは内外の景気刺激策であり、景気は依然として下り坂である。中国向け輸出は、内需向けよりも、世界の工場に対する部品・生産設備が中心であるため、中国向け輸出の牽引力に過度の期待は禁物である。国内経済は、三つの調整圧力がマイナス影響を与える。ひとつはデフレで大幅な需要不足により低価格競争が広がるため、消費者物価の下落傾向が長期化。企業の売上高がさらに下振れする。二つ目は設備過剰感が過去最高水準で高止まっているため、設備投資の低迷は長期化。とりわけ製造業の中期的な設備投資計画は大幅マイナスに。三つ目は雇用過剰感の急上昇を背景に、人件費を削減する動きが本格化。就業者数は、今後1年間でさらに150万人減少する可能性。また、ボーナスを中心に、給与の減少傾向も持続。また前政権による景気対策効果が息切れし、2010年入り後から景気押し下げに作用する。とりわけ公共投資。2010年4〜6月期には、自動車・薄型テレビが大幅減少の可能性が大きい。内外需要の低迷、政策効果の牽引力低下を背景に、2010年前半に景気は再びマイナス成長に転じる見通しで、欧米経済の失速、資源価格の高騰、円高などのマイナス圧力が強まれば、景気後退色がさらに強まる恐れがある。