産業構造の変化

ソニーなどの電気メーカーのブランドの低迷は、垂直分裂と呼ぶ現象だ。経済学や経営学でいう垂直統合の逆の現象が起きている。従来はトヨタ自動車のような垂直総合された企業が、いろいろの工程ないし機能が、複数の企業によって別々に担うようになる。垂直分裂が最も進んだのがコンピューター産業である。コンピューターの出始めころは、メーカーは基本的なICチップの製造、設計、OS(基本的ソフト)や応用ソフトの開発、製品の販売をすべて自社のなかで行っていた。ところが今は、すべて別々の企業が造っている。かってコンピューター産業に参入しようと思えば、全部自前で揃えなければ成らなかった。しかしいまは、これらのものは専門メーカーから購入できるよになる。素人でもブランドメーカーとそんしょくのないパソコンが作れる。このような垂直分裂は、最終製品の製造販売に誰でも参加できることを容易にする効果があるために、儲からなくてなって、アイビーエムもパソコンから撤退した。コンピューターだけでなく家電でも垂直分裂が起きているために、ソニーなどのブランド名だけでは生き残れなくなってきた。