田中一村

今日、千葉市美術館で開催中の「田中一村 新たなる全貌」展を遠路はるばる東京から観に行った。今回の展覧会は、新たに発見された千葉時代の作品も多く、過去最大の規模といわれる。モチロン奄美時代の主な作品はたぶん展示されており、かなりの点数に上る。
彼のことを知ったは、湯原かの子の「絵の中の魂」読んでからで、恋人に会いに行くような気持ちで、2001年、奄美大島にできた美術館に行きたいと思っていた。先週、NHKで千葉市美術館でやっているのを知った。恋人に会った時のワクワク感で「アダンの木」を鑑賞できたことが一番うれしかった。千葉時代(30代〜50代)、東京時代(10代〜20代)の絵も興味深かったし、後の奄美時代の絵の大胆な構図と色彩、そしてデザイン的センスの良さがチラホラみえる。今回改めて驚いたのはその早熟さ、わずか5,6歳で大人顔負けの筆さばきなのである。天才、神童ともてはやされ、10代で売れっ子画家になった米邨(後の一村)の画家としてのスタートは順調かにみえたのだが中央では認められず、50歳で奄美大島に行く。田中一村の生涯は、ただひたすら絵を描くためにあった。お金も地位も名声も求めず、じぶんの命を削ってまでも描き続けた。一村の絵からは、人を圧倒させる凄みが感じられるし、一村の魂の声が聞こえる気がする。