日本の不景気の原因

日本は1980年頃まで輸出と輸入は両方とも額は小さく、輸入と輸出額との間の差額は、ほとんどありませんでした。しかし、1985年頃から、輸出から輸入額を引くと、巨額の貿易黒字が出るようになってきた。これはバブルのころで、日本のバブルは貿易額を急速に増やし、貿易黒字がでるようにした。だが不思議ことに、バブルが破綻の1990年代以降もいつも10兆円ぐらいずつの巨額の貿易黒字だけは増え続けている。貿易が黒字であるのなら問題がないように思えますが、この貿易黒字が1990年以降の不景気につながっていくのである。貿易黒字が25年間も続くと、そのお金はどこかに貯まる。日本人が海外に保有する資産から、外国人が日本に保有する資産を引いた対外純資産は1986年ごろまではゼロで、今は250兆円もある。25年の分の貿易黒字毎年10兆円に相当する。日本国内ではほとんどゼロ金利ですが、海外に貯めた資産からは利益が出てくる。2000年には対外所得収益収支黒字が10兆円を越えた。貿易で10兆円の黒字を稼ぐだけでなく、日本は海外投資からそれ以上を稼いでいる。さらに投資されるので、対外純資産は加速的に増えている。日本の景気が非常によかった1986年のバブル期では、所得収支黒字はプラス2兆円にも達していませんでした。大きな異変が起きたのは、失われた1990年以降である。2000年以降も海外から受け取る所得はさらに増え、さらに海外投資し、対外純資産は加速的に増大し始めている。このように海外に出ていて、投資すると日本国内の投資は止まってしまう。1970年から1990年代までは、国も企業も国民もみんなハッピーで、バブルが弾けたとき、企業は苦しい状態に陥りましたが、それでも1990年代はリストラの危険があったとはいえ、国民はもらった給料を貯蓄し、それを国が借りていた時代だった。2000年以降、企業は海外にいってしまい、国と国民は困ってしまった。なぜ日本企業は国内を見捨てて外に出て行ってしまうのか。それは円が実力以上に高くなり、このことは海外に比べて労働コストも企業の運営コストも高いことにつながる。日本は双子の巨額黒字、貿易黒字と所得収支黒字により、日本の円為替レートをさらに高く押し上げる。そこで、メーカーとしては日本での製造をあきらめざるを得なくなり、ついに国内の雇用を守れない状態になってきた。なぜ、このように貿易黒字が増え続けるのは日本人特有の不備に備えて貯めておこうという行動に走らせてしまうではないのか。国内でも老後の不安があるからと言ってお金を使わず貯蓄するのと同じである。それが国内では1500兆円も貯蓄されて、結局はその7割近くを中央と地方の政府が使ってしまった。この政府に貸したお金は金利さえつかない。一方の海外投資したお金250兆円から6パーセントほどの利回り、16兆円の所得収支黒字を稼ぐ。しかし、国内には投資にはお金が回らないことにより企業の国内投資に意欲がわかず、海外の関係で双子の黒字のために円高が過度に起こり、このため製造業の海外逃避を余儀なくされてしまう。メーカーはグローバル化で困らず、国民と政府は困ってしまう。言うなれば、日本の国民と政府は民間企業に見なされてしまったのである。国民はいかに日本のメーカーが海外逃避する事を止め、自国に向かわせること考えなければならない。そのための原資として毎年創り出される巨額な双子の黒字がある。なぜゆえ日本国内で企業が立地できず、海外に目を向けるのか。なんといっても円が高く、GDPが伸びず、労働コストと法人税も高い。規制が厳しく海外に言ったほうがいいとことになる。日本の個人資産1500兆円の投資先は1980年代のバブルが弾けた結果、国民は投資に懲りて、郵便や銀行預金にお金が向かった。企業が技術革新に投資をしなくなり、国民は株式に投資しなくなったことも、現在の不景気のひとつの原因となっている。国民が預けた郵便貯金や銀行預金は誰かが借りてくれないと利子が生まれません。借り手をさがしましたが、バブル後の1990年代には民間企業に貸すにはリスクが多く、倒産する可能性あった。そこで国と地方自治体に貸し付けた。1000兆円ほどが国と地方自治体への貸付に回った。これが現在の国と地方自治体の蓄積された巨大な財政赤字なのである。誰かがお金を貯めたら、誰かが借り、誰かが使う。これがお金の回りかたの原理原則である。こうして、国民が貯めたお金を国と地方自治体が借り、そして使ってしまった。1990年代当時は、国や地方自治体に借りてもらうほかはなかった。金利を払って借り手いるいじょう、お金を使わなければ金利を払うことはできません。国や自治体は将来のために役に立つ、ダム、飛行場、高速道路、コンサートホール、美術館などを造り続けた。それらの多くがその後、殿様商法といわれる状況になり、赤字が出たり、処分せざるを得なくなったりした。将来への投資を民間企業にやらせずお役人にやらせたことが間違いのもとであったいうことになる。国民の貯蓄の殆どは、不安の老後への備えだと思われる。この1500兆円貯め、政府は、このお金を過半を借りて使ってしまった。その金額が1100兆円で、急にすべてを返せと言われても返せる額ではありません。政府の税収は2009年で40兆円程度ですので、30年分の税収を全部吐き出さなければ返せない額である。当然無理で、これだけの借金をすると、金利を払うのも不可能である。たとえば4パーセント金利として毎年44兆円で、税収40兆円しかないのに、払えるわけがない。このため国全体として金利はゼロにせざるを得ない。貯めたお金は誰かが借り、誰か使う。後世に貯蓄を残すこともできないし、後世に借金も残すことはできない。ならば後世に何を残せばいいのか。後世に残せるものは、ものやインフラ、制度、人材などになる。