便利の裏では

トヨタハイブリッド車は今や世界で170万台の市場規模となって、数年後には300万台の規模になると言われている。近頃の車の製造コストに占める電子部品の割合は、2007年時点でカローラ・クラスの小型車で1割から2割、クラウンの高級車で2割から3割、ハイブリッド車では5割前後になっている。そのハイブリッドのモーター生産に欠かせないのがレアメタルの希土類原料である。この車は環境に優しいと言われている。一方に意外に知られていないが、ハイブッリドが増えるほど、資源開発の現場では環境破壊が進んでいる現実がある。確かに先進国から見れば、ハイブリッド車は環境に優しい乗り物でであるが、資源国においては環境汚染の元凶になっている。この車にとってレアメタルが不可欠で、100%中国に依存している。昔は農民が手押し車で山から工場まで鉱石を運んでいたが、人件費の上昇に伴い、採掘現場に直接硫酸をかけて希土類を浸出採取する方法がとられている。しかし1000トンの鉱石から取れる希土類は2トン、後は再処理されないまま汚染された土砂は川に捨てられる。携帯電話でも同じことが起こっている。電話機に入っている小さな部品のタンタルコンデンサーにタンタルが必要である。1998年から内戦が続いているコンゴ等で取れる。タンタルの需要の3割を日本が占めている。携帯電話には採掘者たちの血が流れている。芋を掘れなくなった労働者たちの上前をはねる軍隊や集荷業者たちの欲望が渦巻き、そして人類の止まらない破壊と乱開発で、森を追われた動物たちが泣き、森林破壊が起こっている。