今、日本は

この2年半色々の所に出歩きこの論評のような感想をもった。しかも今年の6月からさらに日本の景気は悪化の一途をたどっているような気がしてならない。
今、日本は戦後最長の好気配を享受している。民間部門が景気回復を主導しており、中身も充実していてしっかりしている。数値を見ただけならこれ以上良い状況はない。日本の6大銀行も昨年3兆円の利益をあげた。大型メーカーの収益は記録的だ。構造調整成果に円安まで重なってトヨタ自動車は純利益1兆円を4年続けている。
しかしこうした好況を実感する日本の国民は多くない。日本企業のうち70%が好景気を感じることができないでいる。一部の大企業の輝く実績に隠れて、それより多くの企業が実績悪化にうめいているという意味だ。
その背景には単価の引き下げ問題がある。国際化による熾烈な競争を勝ち抜くために大企業は中小企業や部品会社に単価の引き下げを日常的に圧迫要求している。企業規模によって収益力格差が拡がるほかない構造だ。
一般庶民たちの体感度はもっと低い。まず賃金が減った。5年間の好況にもかかわらず現金給与の総額はむしろそれ以前の水準を行き来している。雇用の質も悪くなった。失業率が大きく下がったが、正規職はむしろ減った。それだけ非正規職が増えたということだ。だから日本の庶民たちに好景気はよその国のお話だ。
日本にはこのごろ二極化(格差問題のこと)の解消が最大の懸案で浮び上がった。単純に成長の恩恵がいきわたらないという問題ではない。まず格差自体が深刻な矛盾をはらんでいる。言わば好況なのに大多数国民がこれを体感することができなければ個人消費は増えにくい。格差問題による消費の鈍化が結局は好況への足をひっぱるという懸念もここに始まる。
愛社心は死語になりましたよね。
ほとんどの社員が長時間労働と、上からの限りない目標、労働の割には少ない賃金で働かされては愛社心もおきません。武田薬品に勤める友達が定年で辞めたときの言葉、辞められて好かった。20代のころは入社できた喜びで輝いていた。今、日本の国中に大きな愛する心が失われ病んでいる。