この不況は長引く

去年の政権交代になって、景気が良くなったかと問えばノウと言わざる得ない。たまたま新橋駅前のマックに、お昼ごろ人と待ち合わせていたら、どっと人が混んできた。1時過ぎると人の流れがかわり空いてくる。新橋はサラーリーマンの街、お昼の食事がマックで食べるのでは体力が付かないと思うが、また銀座のマックに夜の9時ころになると会社帰りのO.Lが大勢立ち寄って混む。去年は上野の下町が活気がなかったが、この流れが銀座、新宿など高級繁華街でも見られるようになってきた。今まで景気が悪くなっても、銀座、新宿は別格と思われていたが、今度の不景気は今までとは違うように思われる。大企業はリストラやコスト削減、新興国で利益をだしているが、国内では消費不況で格差が広がり初めている。あと2年以上我慢しなければないと思うが、アメリカと中国が手を結んで、自動車などの規格の標準化を、がっさくしている。これに乗り遅れると携帯と同じ運命をたどる。1億人いる日本でしか売れない製品になってしまう。

閉塞感

日本政府は数年前に雇用規制を緩和し、それにより日本企業は、終身雇用を減らしつづけてきた。そのため、日本の労働人口の 1/3 以上がパート・タイム労働者である。継続的な雇用にとってかわる派遣社員の需要が生まれ、それを埋めるように派遣会社が勢いを増した。
月給とりだったベビーブーマー世代が死んでいなくなると、経済崩壊が加速するのではないかと多くの日本人は心配している。世界経済における日本のシェアは 1994 年のピーク時には 18% だったが、それも 10% 以下に落ちこんでしまった。このまま衰退状況がつづけば収入格差はひろがるだろう。かつて安定していた世の中がバラバラになる恐れもあるのだ。
今の若者は大学や産業界、政府のエリートになるのに必要な必死の勉強やまわりくどい試験の価値が下がっていくのも目にしてきた。チャンスが減ってくれば長年の勉強も水泡に帰す。それとは対照的に、短期の仕事を転々とし、海外旅行や趣味などにもエネルギーと時間をあてるのが現代の若者のライフスタイルである。経済協力開発機構(OECD)は18日に発表した経済見通しで、日本は2011年に1.7%、2012年には1.3%に成長率が減速する見通しとされた。

世の中の流れ

パン焼きを買った。パナソニックホームベーカリーSD-BMS102-Nで、つい最近出たばかりの製品である。ヨドバシカメラビックカメラでは3万3000円ほどで売っていた。しかし、インーターネット販売だと、2万1780円で売っていた。初めて注文してみると、次の日に届けると連絡がきた。ヨドバシカメラビックカメラも通信販売もしているが、これほど安く買えない。大きな店舗や大勢の社員もいらないので、価格を抑えることができる。しかし信頼に不安があるが、このことが解決できばこれからのびる業態に思われる。

銀座三越

東京駅の地下街に一歩足を踏み入れると、別の世界に来たのかと間違えるほど華やかで活気に満ちている。今巷では、景気が悪いと囁かれているが、東京駅から銀座を歩くと街並みが綺麗になり、表面は景気が良さそうに見える。銀座の三越も新装開店し、3連休の一日にどのように変わったか興味があり出かけた。すごい人で混雑しているのには驚いた。しかし、その混雑も夜の6時ごろになると、塩が引くようにいなくなり、今までの混雑は何だったのだろうかと呆気にとらわれた。きょう銀座に用事があり、三越にたちよった、普段の百貨店の入り、やはり不況だった。

日本経済の繁栄と消えた絵

1987年から1990年の4年間、日本に輸入された海外の美術品はその当時世界中で売買された美術品の半分以上だと言わている。その中でも美術オークションで落札された中で最も高価で、そのために最も有名になった肖像画ゴッホの「医師ガシェの肖像」である。生前はその才能が認められず貧しさに苦しみ、自ら37歳で悲劇的な人生を絶った画家である。世界で最も有名なな油絵「医師ガシェの肖像」が、今何処にあるのか知っているのが、一握りの人しか知らない。それはこの絵を1990年春に落札したのが日本人実業家であり、そのオークションからほどなくして日本経済が崩壊したために、その人物の会社の経営が破綻し、彼の美術コレクションが彼の手を離れ、担保として押さえられるという憂き目にあい、複数の金融機関の手を経て、今ではアメリカンのコレクションに入っているといわれている。世界最高の価値ある美術品が日本に渡り、そしてその後消えてしまった。歴史的に優れた美術品はそのときどきに、世界で最も富む者のところに集まると言われている。1989年12月29日には日経平均株価が3万8915円という値がついた。そのころの日本に、世界の高価な美術品が集まっても不思議ではなかった。

時間

今年の1月ごろ、小室直樹の「経済学をめぐる巨匠たち」を読んだとき、この人は天才肌の学者なんだと、改めて見なおした。若いときにはテレビなどマスコミにひんぱんに出ていて、奇行な行動があったので覚えていた。その評論家の小室直樹(こむろ・なおき)さんが4日午前1時ごろ、心不全のため東京都内の病院で死去したと、東京工業大学世界文明センターが28日発表した。天才は凡人に比べて異常な行動をする。私の好きなマーラー交響曲第5番嬰ハ短調マーラーの作曲活動の中期を代表する作品に位置づけられるとともに、作曲された時期は、ウィーン時代の絶頂期の曲だ。しかし、こんな素晴らし曲を書く人でも、遠くにある教会の鐘がうるさくて奥さんに止めさせにいかしたり、作曲するために小さな小屋を湖の真ん中に建て、音を遮断することをした。誰にも平等に過ぎていくのは時間である。成功するためには、人よりも時間を効果的、効率的に使って一所懸命に正しいやりかたで時間を使うことが需要な要素となる。時間はいったん失ってしまったら二度と取り戻すことができない。金を損しても、人に逃げられても、恋人に振られても、会社の倒産、解雇になっても、後で取り戻す事ができる。しかしいったん弓から放たれた矢と失った時間は二度と取り戻すことはできない。世の中には不合理や不公平、不平等の種はゴマンとある。神様はフェアではないと思わざるを得ない事が多い。しかし人間ひとりひとりに24時間を与えてくれている点はフェアなのかなと思っている。

田中一村

今日、千葉市美術館で開催中の「田中一村 新たなる全貌」展を遠路はるばる東京から観に行った。今回の展覧会は、新たに発見された千葉時代の作品も多く、過去最大の規模といわれる。モチロン奄美時代の主な作品はたぶん展示されており、かなりの点数に上る。
彼のことを知ったは、湯原かの子の「絵の中の魂」読んでからで、恋人に会いに行くような気持ちで、2001年、奄美大島にできた美術館に行きたいと思っていた。先週、NHKで千葉市美術館でやっているのを知った。恋人に会った時のワクワク感で「アダンの木」を鑑賞できたことが一番うれしかった。千葉時代(30代〜50代)、東京時代(10代〜20代)の絵も興味深かったし、後の奄美時代の絵の大胆な構図と色彩、そしてデザイン的センスの良さがチラホラみえる。今回改めて驚いたのはその早熟さ、わずか5,6歳で大人顔負けの筆さばきなのである。天才、神童ともてはやされ、10代で売れっ子画家になった米邨(後の一村)の画家としてのスタートは順調かにみえたのだが中央では認められず、50歳で奄美大島に行く。田中一村の生涯は、ただひたすら絵を描くためにあった。お金も地位も名声も求めず、じぶんの命を削ってまでも描き続けた。一村の絵からは、人を圧倒させる凄みが感じられるし、一村の魂の声が聞こえる気がする。